?> 最終更新日: 更新日: 2025年8月 9日 作成日:2025年8月 9日
銅造地蔵菩薩立像|文京区千駄木・専念寺に残る江戸時代「宝珠地蔵」の歴史(文京区 千駄木駅)
東京・文京区千駄木にある文京区指定有形文化財「銅造地蔵菩薩立像(どうぞうじぞうぼさつりゅうぞう)」は、高さ2.33メートルを誇る堂々とした銅製の地蔵尊です。江戸時代・元禄4年(1691)に建立され、「東都六地蔵」の第二番・宝珠地蔵として広く知られてきました。
この像は、もともと浄土宗・専念寺(せんねんじ)の境内に安置されていました。専念寺は神田に創建されたのち、天和4年(1684)に現在の千駄木へ移転し、本堂や鐘楼、山門を備えた立派な伽藍(がらん:本堂・山門・鐘楼など寺院の主要建物群)を構えていました。
しかし、昭和20年(1945)の東京大空襲による戦災で伽藍はすべて焼失し、再建されることなく廃寺となります。現在は寺院の建物はなく、かつての境内地にこの地蔵尊だけが残され、地域の人々や訪れる参拝者を静かに見守っています。案内板や文化財指定名には、当時の寺名「専念寺」が今も記されています。
銅造地蔵菩薩立像の情報
- 名称:銅造地蔵菩薩立像(どうぞうじぞうぼさつりゅうぞう)
- 住所:東京都文京区千駄木1-22-24
- アクセス:東京メトロ千代田線「千駄木駅」徒歩約7分/東京メトロ南北線「本駒込駅」徒歩約8分/都営三田線「白山駅」徒歩約11分
- 文化財指定:文京区指定有形文化財(平成25年3月1日指定)
現地案内板の説明(原文)
文京区指定有形文化財 銅造地蔵菩薩立像
所在 千駄木一丁目22番22号 専念寺
指定 平成25年3月1日
本像は、江戸時代に東都六地蔵の第二番・宝珠地蔵として有名であった地蔵尊である。高さ233.6㎝を測る鋳造仏である。
東都六地蔵とは空無上人が元禄4年(1691)頃に建立したものであり、いわゆる「始めの六地蔵」といわれるものである。建立場所は、一番 駒込瑞泰寺(文京区向丘二丁目36番1号、昭和61年再建)、二番 千駄木専念寺(本像)、三番 日暮里浄光寺(荒川区西日暮里三丁目)、四番 池之端心行寺、五番 福聚院(上野公園)、六番 浅草寺内正智院(台東区浅草二丁目)である。
本像には、造立願文や人名等が鏨(たがね)によって彫り込まれており、多くの人々の助力によって造られたことがわかる。
東都六地蔵のうち、造立当初の全容を残す確かな遺品は本像を含めて極めて少なく、貴重である。
わかりやすい解説
銅造地蔵菩薩立像は、「始めの六地蔵」と呼ばれる東都六地蔵のひとつとして元禄年間に建立されました。東都六地蔵は江戸の六方を守るため、空無上人が発願し建立した大型地蔵尊で、当時は庶民の巡礼地として大いに賑わいました。
この像は建立当初の姿を良好に保つ数少ない遺品で、像の表面には建立に関わった人々の名前や願文が刻まれています。訪れる際は、その大きさや造形の美しさだけでなく、戦災を経てもなお残る信仰の歴史にも目を向けると、より深く魅力を感じられるでしょう。
〔江戸切絵図〕 駒込絵図
江戸時代の地図「江戸切絵図」にも専念寺の名が記されており、当時の境内の広さや位置関係がうかがえます。
銅造地蔵菩薩立像の場所