?> 最終更新日: 更新日: 2025年7月 5日 作成日:2025年7月 5日
湯島の女坂|石畳の参道を緩やかに登る
文京区湯島の湯島天満宮(湯島天神)の東側には、「女坂(おんなざか)」と呼ばれる優美な石畳の坂道があります。
写真の左側の道をまっすぐ行くと、一直線で急勾配の男坂「天神石坂(てんじんいしざか)」があり、二つの坂はまるで対をなすような存在です。
現地に案内板は設置されていませんが、全国にある「女坂」の多くが緩やかな構造であることから、湯島の女坂もそのひとつと考えられています。
- 坂の場所:湯島天満宮(湯島天神)の東側
- 特徴:歩きやすく、穏やかな気持ちで登れる石段
- 段数:33段
- 雰囲気:春には梅の花が咲き、石垣や板壁と相まって、風情と季節感のある景色
- アクセス:東京メトロ「湯島」徒歩2分、東京メトロ銀座線「上野広小路駅」徒歩約5分、都営大江戸線「上野御徒町駅」徒歩約5分、都営大江戸線「本郷三丁目駅」徒歩8分、JR「御徒町」徒歩8分
歩きやすい女坂
女坂は全部で33段の石段ですが、途中に平らな踊り場が3か所ある構造です。階段が一直線に伸びるのではなく、区切られた平場を挟むことで、歩きやすく、穏やかな気持ちで安全に登ることができます。
男坂に比べて高齢の方や子ども連れにも優しい構造で、誰でも安心して歩けるのが魅力です。
原田悠里さんのCD『おんな坂』石碑(北島三郎 書)
女坂の入り口には、歌手・原田悠里さんのCD『おんな坂』の発売を記念して建立された石碑があります。
この石碑の揮毫は演歌界の重鎮・北島三郎さんによるものです。
実際にいつ設置されたかは記録が残っていないようですが、少なくともCD発売時期(2003年)あたりには建てられたと考えられます。
石碑
女坂の上部には、明治25年(1892年)に建立された石碑が残されています。
碑文はすべて縦書きで、上から順に次のように刻まれています。
女坂
寄付
湯嶋六丁目
日野屋庄兵衛
この石碑は、湯嶋六丁目に住んでいた「日野屋庄兵衛」氏が、女坂の整備に寄付を行ったことを記念して建てられたものかなと思います。
「湯嶋」は現在の「湯島」の旧字体表記で、明治時代以前の石碑や文書に多く用いられていました。
この石碑は、女坂が地域の人々によって大切にされ、支えられてきた歴史を今に伝える貴重な石碑です。
歌川広重「江都名所 湯しま天神社 (江都名所)」
『江戸名所図会』(国立国会図書館蔵)に描かれた湯島天神周辺。奥に見える坂道が現在の女坂で、右が男坂です。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション(パブリックドメイン)
女坂を上から
こちらは、女坂を上から見下ろした様子です。
石畳と途中に見える踊り場がゆるやかなリズムを生み出し、下町らしい静かな空気感が漂っています。
梅の季節には、この坂道にも花が彩りを添え、一層風情のある景色が広がります。